INTRODUCTION







 カルロス・カスタネダについては、サステインドアクション( http://www.sustainedaction.org/ )というサイトを参照するべきです。テキストだけ、それも日本語のテキストだけ読んで、これをあがめ奉ったり、人生を賭けてみようと思うことは危険です。

 とりあえず、このサイトで、物語上は「青い偵察」と呼ばれている人物の素顔を知ることができます。その他、物語の後半に登場する何人かの人物について示唆してます。さらに、彼の日常の最後に付き添っていた女性たちが集団自殺したということも報告されています。その他、カスタネダ主催の日曜クラスに通っていたメンバーたちによるファーストハンドの情報がたくさんあります。

 このサステインドアクションでも紹介されてますが、作家アーヴィン・ウォレスの娘のエイミー・ウォレスがカスタネダの愛人としてカミングアウトしました(2002年)。『呪術師の弟子』(2003年)は邦訳はありませんが、カスタネダの後半の素顔を知るには欠かせない文献でしょう。  

 第11巻『時の輪』は、実はカスタネダの思想の核を含んでいません。これは非常に興味深いことです。カスタネダは自分が読者に深いところで影響を与えた<受動能動>というテーマをこの『時の輪』という要約書からカットしました。これはおそらく、この要約に核心を書かないことで、第1巻から第12巻までの物語の質を守ろうとした、とも考えられます。

 <受動能動>は第12巻に至ってもなお、本質的なテーマであり続けます。読者は、「暗い海」とか「飛行者」という概念に気を取られるでしょうが、第2巻から受動能動の洗礼を受けてきた読者にとっては、ここでの<受動能動>への微妙な追求を見て、カスタネダが年老いてもまだ、そのテーマを探求中だったこと、そしてそれを自らの心の精神分析とでも呼べるものにまで昇華させていることに驚くでしょう。



ixtlan@eletheria.com 2010.2.12




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